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惑星の立体視:2021/07/23

繰り返しになるが、天体などの無限遠のものを両眼視で見ても視差が生じないので立体感は得られない。それでも双眼装置で天体を観察するのは擬似立体感が得られるというメリットを期待するためだ。しかし自転している天体を立体視する方法がある。今日はそれについて書いてみようと思う。
まずは7月22日に撮影した単眼での木星の写真。大気の状態が良かったため、比較的詳細に木星の大気を描写出来ている。あとでこれを立体写真にしたものを載せる。
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 もし宇宙船で実際に木星や火星や月の上空に行ってみたとしても視差がほとんど生じないので惑星の雲、地形は立体的には見えにくいだろう。当然高解像度を誇るハッブル宇宙望遠鏡などでも単眼では立体的には見えない。
しかし、対象天体の自転を利用すれば遠く離れた地球からでも、時間をあけて撮った2つの惑星写真を並べるだけで、惑星の大気の状態を立体的に見ることが可能である。
立体写真の見方には平行法と交叉法という2つの方法がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ステレオグラム
交叉法では、先に撮った写真を左に、後で撮った写真を右に並べ、近くを見る要領で寄り目にしピントの位置だけは写真に合わせ直す、といったちょっと慣れが必要な方法だが、慣れれば惑星がじわっと球体に見えてくる。惑星が自転していることを利用したもので、立体感の強さは2つの写真の撮影の時間差で調整できる。
最初のうち立体視が難しいようなら、平行法の方が簡単かもしれない。どちらが見えやすいかというとその方の安静時の眼位や屈折度数に依るところが大きい。天体などの大きくて無限遠のものは平行法の方が大きく感じることができるため「実物を見てる感」がある。
ただし、平行法と交叉法を変えて見る場合には、立体写真の左右の画像を入れ替えないといけない(上下をひっくり返しても交叉法用の写真は交叉法用で平行法用にはならない)。

時間差立体写真は確かに興味深い。
遠く離れた地球から時間差を利用した惑星写真を2枚並べるだけで、惑星の大気の状態が立体的に見えるのだからこれは使わない手はない。木星の巨大嵐の大赤斑がお椀をひっくり返した様に上に凸に見える。
昨年の火星の写真でも球の様に火星が立体になった。
3火星立体写真.jpg

この時の火星の砂嵐の立ち上がりは私の写真では立体に見えにくかったが、
4火星立体写真.jpg

5火星立体写真.jpg

口径20センチ強の望遠鏡ですばらしい動画をたくさん撮っておられるYoshito Ikenoueさんの、火星の砂嵐は立ち上がって見えた。さすがに地形までは立体視は出来ないが大気の凹凸がわかるだけでも興味が湧く。
https://www.youtube.com/watch?v=TqbVdAxoJLU&t=4s
惑星の大気の変化は立体視に向いている。
木星表面模様は全て大気の立ち上がりそのものなので、立体視のおもしろさを味わうことができる。地上からの惑星の見方の一つとしてありだろう。
1木星立体写真.jpg

2木星立体写真.jpg
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