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硝子体手術ビデオセミナー:2021/07/23(7月4日に行われたものライブ配信)

上記、本日オンデマンドで拝聴した。
20分〜30分の内容で非常に中身が濃い。
以下印象。
瓶井先生:DMRでは、PVDを起こしてもかなりの確率で残存硝子体皮質が残っている。空気下にTA染色して皮質を見て切除する。Finesse Flex loop で皮質を取る。ILMを傷つけないようにそっとなでる。道具を動かすのではなく網膜の方を動かす。ILMは黄斑部の1〜2乳頭径のところから剥き始める。厚いがちぎれやすい。網膜が弱い。中心窩に牽引がかからない様にする。
馬場先生:鈍的外傷は硝子体基底部に裂孔が出来る。硝子体混濁があれば原則手術。難症例にはポピドンヨード灌流も有効。灌流せずに強膜圧迫して眼圧を維持しサンプルを取る。検鏡用と培養用をとる。当日提出できなければ4度で保存。硝子体注射後の眼内炎発症の中央値は4日目。初発症状は霧視・視力低下で、疼痛を訴える方は比較的少ない。
鈴間先生:眼内レンズ後入れで眼底を観察する場合、前房に粘弾性物質をたくさん入れると後極が、少なくして虚脱させると周辺部が見える。麻酔は2%キシロカインで4ml。PEA+IOL時には硝子体圧が高くなる。正常眼圧下でポートを斜め刺し。低眼圧下では綺麗なトンネルにならない。
日下先生:黄斑上膜は、罹患率PREVALENCEは70歳台で11.6%、60歳以下で1.9%。手術しても変視症はほとんど残る。
門之園先生:内境界膜翻転は、650−800μの円孔、80μ以下は経過観察。内境界膜剥離は650μまで。800μ以上は網膜移植。内境界膜は接線方向に引っ張る。講演では代表症例として640μでも内境界膜のみ剥がす。1220μはどうするか?症例提示。自家網膜移植(ART)をしている。術後視力は、0.1から0.3へ。鼻下側から網膜を取ってくる。47Gのマイクロニードルで網膜剥離を作って採取する。表裏を合わせるため色素で染める。

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惑星の立体視:2021/07/23

繰り返しになるが、天体などの無限遠のものを両眼視で見ても視差が生じないので立体感は得られない。それでも双眼装置で天体を観察するのは擬似立体感が得られるというメリットを期待するためだ。しかし自転している天体を立体視する方法がある。今日はそれについて書いてみようと思う。
まずは7月22日に撮影した単眼での木星の写真。大気の状態が良かったため、比較的詳細に木星の大気を描写出来ている。あとでこれを立体写真にしたものを載せる。
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 もし宇宙船で実際に木星や火星や月の上空に行ってみたとしても視差がほとんど生じないので惑星の雲、地形は立体的には見えにくいだろう。当然高解像度を誇るハッブル宇宙望遠鏡などでも単眼では立体的には見えない。
しかし、対象天体の自転を利用すれば遠く離れた地球からでも、時間をあけて撮った2つの惑星写真を並べるだけで、惑星の大気の状態を立体的に見ることが可能である。
立体写真の見方には平行法と交叉法という2つの方法がある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ステレオグラム
交叉法では、先に撮った写真を左に、後で撮った写真を右に並べ、近くを見る要領で寄り目にしピントの位置だけは写真に合わせ直す、といったちょっと慣れが必要な方法だが、慣れれば惑星がじわっと球体に見えてくる。惑星が自転していることを利用したもので、立体感の強さは2つの写真の撮影の時間差で調整できる。
最初のうち立体視が難しいようなら、平行法の方が簡単かもしれない。どちらが見えやすいかというとその方の安静時の眼位や屈折度数に依るところが大きい。天体などの大きくて無限遠のものは平行法の方が大きく感じることができるため「実物を見てる感」がある。
ただし、平行法と交叉法を変えて見る場合には、立体写真の左右の画像を入れ替えないといけない(上下をひっくり返しても交叉法用の写真は交叉法用で平行法用にはならない)。

時間差立体写真は確かに興味深い。
遠く離れた地球から時間差を利用した惑星写真を2枚並べるだけで、惑星の大気の状態が立体的に見えるのだからこれは使わない手はない。木星の巨大嵐の大赤斑がお椀をひっくり返した様に上に凸に見える。
昨年の火星の写真でも球の様に火星が立体になった。
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この時の火星の砂嵐の立ち上がりは私の写真では立体に見えにくかったが、
4火星立体写真.jpg

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口径20センチ強の望遠鏡ですばらしい動画をたくさん撮っておられるYoshito Ikenoueさんの、火星の砂嵐は立ち上がって見えた。さすがに地形までは立体視は出来ないが大気の凹凸がわかるだけでも興味が湧く。
https://www.youtube.com/watch?v=TqbVdAxoJLU&t=4s
惑星の大気の変化は立体視に向いている。
木星表面模様は全て大気の立ち上がりそのものなので、立体視のおもしろさを味わうことができる。地上からの惑星の見方の一つとしてありだろう。
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顕微鏡や天体望遠鏡の双眼装置について:2021/07/23

梅雨明けにいきなり全国的に大気の安定した状態が続いている。
口径40㎝を生かせる大気の状態は日本では無理だと思っていたが、稀にこの季節はそうでもないこともある。
天体などの無限遠のものを両眼視で見ても視差が生じないので立体感は得られない。それでも双眼装置で天体を観察するのは擬似立体感が得られるというメリットを期待するためだ。医療用の顕微鏡も最近ではほとんどの機種に双眼装置が付いている。顕微鏡の双眼装置も視差がないビームスプリッターによる双眼装置を使用しているため立体視はない。擬似立体以外に、われわれ年配が対象物を観察する際のメリットとして、白内障・飛蚊症などの眼の中間透光体が多少濁ってきても2つの眼で対象を見るため片方の収差や濁りが両眼で相殺されて心地よく観察できるという点だろう。
私自身は若い頃から飛蚊症に悩まされており眼科に興味を持った動機にもなっている。それもあって40年前から双眼装置に凝っている。

 所有している双眼装置として、
1,アトムの双眼装置(40年前のもので双眼顕微鏡に一般的に使われているもの:眼幅を変えるとピントの位置も変化するため多人数で観察するには適さない)
2,テレビューのビノビュー
3,笠井の唯一双眼装置でビームスプリッターを使用していない双眼装置(Kasai ELS双眼装置)
4,ドイツのバーダー究極双眼装置、
5,ImDIYgoの2インチ双眼装置(星雲星団広視野用でイーソス17㎜、オルソ55㎜まで使用可)

惑星の眼視という用途に限ればお手軽な笠井ELSを頻繁に使用する。これは他方の接眼部からの迷光が他方に侵入するので周囲が明るい昼間などでの太陽観察は注意が必要。マニアでも知っている人は限られるがこの双眼装置は地上に用いると視差を生じ逆立体となる。この逆立体の異次元感覚は特筆もの。またピントの位置が単眼とほぼ変わらないため光路長を考える必要が無くそういう意味でお手軽。ただし実視界が狭い傾向にあり低倍率が苦手。
 各双眼装置の肝心の見え方だが、難しいことを言わなければ私ぐらいの年齢になるとどれもさほど変わらないのではないか?(少なくとも私には・・)。バーダーは重厚でしっかりしているが、重くて接眼部に負担がかかる。しかしコーティング、ビームスプリッターの口径の大きさ・純正リレーレンズは良く出来ているため、満足できる逸品。シュミカセは光路長が長くても使えるのでリレーレンズの必要性はまずないが、一般の鏡筒には双眼装置を付けると筒外焦点の長さが足りなくなるのでバーダー+純正リレーレンズが良い。もちろん良質のバローレンズを使えばテレビューの双眼装置も光路長を稼げるので良い。ビノビューは重さも軽めなので接眼部に負担が少ない。私にとっては5つともなくてはならない双眼装置。使用する望遠鏡の接眼部のつくり、光路長、倍率と使う接眼鏡の種類などを総合して5つを使い分けている。
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