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人工水晶体脱臼、摘出、山根式強膜内固定術の今後の課題

山根式で強膜内固定術を施行した。ハプティックをパクレンで焼却して瘤をつくり、強膜内で止める。30ゲージの針の内腔にハプティックを入れるところが難しいが、手術中にまず眼外で同じことをやってみた上で眼内で施行すると比較的スムースに入れることができる。あとは、眼内レンズを入れる際に十分にシェルガンなどの粘弾性物質を角膜内皮に塗布しておくことも重要。徳田先生がおっしゃっているように瞳孔は小さいうちに粘弾性物質を前房内に満たしておいた方が良い。そのためには、術前には散瞳しないで手術を開始し、粘弾性物質をたっぷりと前房内に満たしたあとに散瞳する術中散瞳がベター。今回は脱臼している眼内レンズをまずは摘出することが必要だったが、手術時間は予想よりもかからなかった。強膜内固定術は前房メインテナーを使用するよりも灌流ポートをたてて施行した方がやりやすい。その点が従来の眼内レンズ固定と比較して手間とコストがかかることか。あとはこの手術の最大の欠点だが、強膜を貫くのは20°から30°に傾けて貫き、5°ほど後極に近くなるように角度をつけて貫くこと。これが困難で、この角度がそのままハプティックスの固定角度となり、術後眼内レンズが傾く原因となる。これがこの手術の今後の課題だろう。利点としてはやはり簡便なところ。実際には今回の症例と違って術中に後嚢破損などで急にこの手術を施行しなくてはならない場合が多く、その際にさっさと眼内レンズを固定して手術を終わることができる、というところが魅力。他の強膜内固定や、従来の糸を使った眼内レンズ固定は煩雑で手術時間が延び、結果様々な合併症を引き起こす可能性がある。
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