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JSCRSのweb開催:特別講演を拝聴して感じたことー特に多焦点眼内レンズについて

今回のJSCRSはweb開催。恐らく多くの方が特別講演を視聴されているのではないだろうか。普段JSCRSに参加されない先生方も今回のJSCRSはweb講演と言うこともあって視聴しやすいのではないだろうか。最近のJSCRSは、手術学会と並んでほとんど臨床系の話ばかりで発表される先生方も同じ顔ぶれになっている。開業医にとってはむしろ実践的な話ばかりで非常に勉強になるので、けっして悪い傾向ではないと感じていた。しかし、今回の特別講演は、JSCRSの役員の清水先生を除きJSCRSにとっては異色の重鎮の先生方が出演されているのにまず驚いた。石井清会長に感謝します。
 これを機にJSCRSや手術学会と、日本眼科学会が以前のように融和してくれることを切に望みたい。当然その方がわれわれ眼科医にとっては非常に嬉しいことだと思う。
特にレジェンドの先生方のご講演、「私の白内障手術」に関しては聞き応えがある。三宅先生、西先生、原先生の、ご経験に基づいたとても興味深いお話しには我を忘れて聞き入ってしまった。web講演だからと言うことで例外的にJSCRS総会に出演されたのかも知れない。原先生のお話しの中に出てくるICCEの際に下方のチン小帯を三島剪刀で一本ずつ切ってICCEを遂行した、チン小帯は面となって水晶体を支えているなどと言うお話しなど非常に面白かった。
 明日からの臨床に役立つ話としてはやはり多焦点レンズについてだろうか。MF-IOLには消極的な清水先生のご講演のあとの次のような西先生のコメントが大変興味深かった。
「ある患者さんに、最初に希望で多焦点レンズを挿入した。しかし多焦点レンズの見え方にどうしても納得されず単焦点にいれかえて欲しいとの希望で単焦点眼内レンズに入れ替えた。ところがまた4週間ぐらいしてやっぱり前のレンズ(多焦点レンズ)のほうが見え方が良かったので、元に戻してくれという要望があり、これを聞きいれて3度目の手術をした。それで今は多焦点レンズで満足されているという方を経験した。」とのこと。単焦点レンズにしても多焦点レンズにしても、もともとの生まれ持った水晶体には叶わない、ということを患者さんに良く理解してもらわないといけない。その上でやはり今現在一番良好な結果を得られるのはやはり3焦点眼内レンズを両眼に入れるのが良いと思った次第。
 自分の伴侶、自分自身に、移植するならどのレンズを入れるかを考えてみて患者さんにも説明するのが良いと思う。私自身の経験〜判断するとやはり多焦点が良いと思う。。私自身の母親は多焦点が出る前に片目を単焦点眼内レンズにて手術した。しかし僚眼の手術が必要になった際には多焦点眼内レンズが発売されたあとだったため本人の強い希望で多焦点眼内レンズを使った手術をした。通常はこのような入れ方はしないのだが、結局、片眼は単焦点、他眼は多焦点眼内レンズが入った状態になった。しかし本人は多焦点眼内レンズの方が近くも遠くもよく見えると言った。この事は私が多焦点眼内レンズを肯定する大きなターニングポイントとなった。結局、義理母には両眼とも多焦点眼内レンズを入れて満足してもらった。義母は、亡くなったが亡くなるまで近くの書類を見るときもテレビを見るときも遠くの景色を見るときも眼鏡を必要としなかった。

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